机の横に、手つかずの教材が積み上がっている。
今月分が届いたのに、先月分がまだ開いてもいない。その山を見るたびに、少しだけ胸が痛くなる。「もったいない」と言いたくなるのを、ぐっとこらえる。
わが家も、まったく同じでした。進研ゼミを10年以上続けてきましたが、手つかずの月は何度もありました。
この記事は「通信教育をやめましょう」という話ではありません。今のやり方が合っていないだけなのか、方法そのものを変えるべきなのか。その見分け方をお伝えします。
まず知ってほしいこと|続かないのは、意志の弱さではありません
通信教育は、自由度が高いぶん「自分で始める」というハードルを毎日越えなければいけません。大人でも難しいことを、中学生に毎日求めているわけです。
だから続かないのは、お子さんの意志が弱いからではありません。設計と本人のタイプが合っていないだけです。ここを取り違えると、「なんでやらないの」という言葉が出てしまいます。
うちも一度その言葉を言ってしまって、子どもの顔が固まったのを覚えています。それ以来、やり方のほうを疑うようにしました。
通信教育が合わない子の5つの特徴
① 自分から始められない
声をかけないと机に向かわない。声をかけると不機嫌になる。この往復が毎日続くなら、負担は子どもより親のほうに寄っています。
この状態が3か月以上続いているなら、方法を変えたほうが家の空気がよくなります。教材が悪いのではなく、「始めるきっかけを外から与えてもらう必要があるタイプ」だということです。
② 教材がたまっていく
「届いたけど開けていない」「先月分が残っているのに今月分が来た」。これが2か月続いたら黄色信号です。
うちが立ち止まったのも、教材が2か月続けて手つかずになったときでした。1か月なら忙しかっただけかもしれない。でも2か月続いたら、それは偶然ではありません。
③ わからないところで止まってしまう
通信教育は一人で進めるので、つまずいた瞬間に止まります。「わからない→飛ばす→積み残しが増える→ますます開きたくなくなる」という流れは、驚くほど早く進みます。
その場で聞ける相手がいるかどうかは、このタイプの子には決定的です。
④ 一人だとやる気が出ない
まわりに同じように勉強している子がいると動ける。家で一人だと動けない。これは性格であって、直すものではありません。
うちの下の子がまさにこのタイプでした。家では絶対にやらないのに、場所が変わるとやる。
⑤ 親が丸つけをする時間がない
見落とされがちですが、これも大きいです。紙の教材は、誰かが丸つけをする前提で作られています。その「誰か」が親になると、続くかどうかは親の余力次第になります。
うちがチャレンジタッチに助けられたのは、まさにここでした。自動採点があるだけで、夕飯を作りながら「丸つけして」と言われるストレスがなくなりました。紙かタブレットかで、続くかどうかが変わることは本当にあります。
やめる前に試したい3つのこと
切り替えを決める前に、これだけは試してみてください。うちはこれで持ち直しました。
① 「全部やらなくていい」と言ってしまう
小学4〜5年のころ、うちは一番の山場を迎えました。学習内容が急に難しくなり、算数の分数と割合でつまずいて「やりたくない」と言われたんです。
そのとき決めたのが、「全部やらなくていい。算数だけやろう」ということでした。国語も理科も社会も、いったん手放しました。
結果は、意外なほどはっきりしていました。範囲を狭めたら、かえって続くようになったんです。全部やらせようとしていたことが、いちばんの原因でした。
② 1回の量を15分に固定する
「今日は15分だけ」と先に伝えて机に向かわせる。15分で終わってもかまいません。大事なのは進んだ量ではなく、ゼロの日を作らないことです。
1日休むと2日になり、3日になる。そこから戻すのに何倍も時間がかかります。
③ 紙とタブレットを入れ替えてみる
同じ教材でも、形式を変えるだけで続くことがあります。書くのが苦手な子はタブレット、画面だと集中できない子は紙。中身より入り口の問題だった、というケースは珍しくありません。
進研ゼミなら、途中でスタイルを変更できます。やめる前に一度、形式を変えてみる価値はあります。
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それでも合わないとき|塾に切り替えるタイミング
次のうち2つ以上が当てはまるなら、切り替えを本気で考えていい時期です。
- 教材が2か月以上手つかず
- 声かけが親子げんかの原因になっている
- わからない単元が積み上がって、本人も自覚している
- 定期テストの点が2回続けて下がった
- 本人が「塾に行きたい」と言い出した
最後の項目は、いちばん強いサインです。
わが家の切り替え体験|2人でまったく違いました
上の子|親が決めて、個別指導へ
上の子は中3から明光義塾に8か月通いました。決めたのは親です。
よかったのは、苦手だった数学を本人のペースで戻ってやり直せたこと。集団だとこれができません。そして自習室。家では絶対にやらない子が「塾に行けばやる」状態を作れました。進路相談で親のほうが安心できたのも大きかったです。
つらかったのは夜の送迎でした。週2回、下の子を車に乗せて往復。夕飯の途中で家を出る。それを8か月。月謝に加えて講習費も乗ってきて、想定より確実に膨らみました。
下の子|本人が言い出して、集団塾へ
下の子は、部活を引退した中3の7月から集団塾に通い始めました。「行きたい」と言い出したのは本人です。
正直おどろきました。家では絶対に勉強しない子だったからです。でも今は楽しそうに通っています。
同じ家で育っても、入り方がこれだけ違いました。そして分かったのは、本人が選んだほうが続くということです。上の子のときには気づけなかったことでした。
もしお子さんが「塾に行きたい」と言い出したら、それは迷う場面ではないと思います。
切り替える前に、必ず計算してほしいこと
教材の質より、生活に収まるかどうかで続くかが決まります。次の3つを先に出してください。
- 送迎:週何回・何時に・誰が。夜の送迎は想像の3倍きついです
- 費用:月謝だけでなく、季節講習・教材費・模試代を足した年額
- 本人の帰宅時間:塾のあとに宿題ができる時間が残るか
うちは月謝だけを見て決めてしまい、講習費が乗ってきたときに慌てました。年額で見ておけば、途中で苦しくなりません。
費用の目安
- 通信教育:月3,000〜7,000円台
- 映像授業:月2,000円台〜
- 個別指導塾:月2〜4万円+講習費
- 集団塾:月1.5〜3万円+講習費
金額差は大きいですが、続かない安いものより、続く高いもののほうが結果的に安いというのも事実です。ここは家庭ごとの判断になります。
塾に行かせられないときの現実的な選択肢
費用や送迎の都合で塾が難しいご家庭も多いと思います。うちも中3の冬、講習の案内を見て正直「これは厳しい」と思いました。
そのとき選んだのは、「苦手な数学だけ講習を受けて、他は家でやる」という形です。理科と社会の暗記は、家で映像授業を回しました。
映像授業なら送迎がなく、つまずいた単元だけ学年をさかのぼって戻れます。「わからないところで止まる」という通信教育の弱点を、いちばん安く補える方法でした。
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小学生の場合は、あわてて塾に切り替えなくて大丈夫
ここまで中学生を中心に書いてきましたが、小学生はまた事情が違います。
低学年は「習慣」だけ作れれば十分
低学年のうちは、学力より机に向かう習慣のほうが大事です。うちも小1〜3のころは、内容よりそこだけを見ていました。
付録やキャラクターの力は、正直かなり大きいです。「今日のチャレンジやる」と自分から言う日があるだけで十分。この時期に塾に移す必要は、ほとんどありません。
4〜5年でつまずくのは、ごく普通のこと
通信教育が急に進まなくなるのは、たいてい小4〜5年です。学習内容が一段難しくなり、分数や割合でつまずきます。
ここで「合わないのかも」と判断してしまうご家庭が多いのですが、この学年は誰もが一度つまずく場所です。うちも同じでした。そこでやったのが、さきほどの「算数だけやろう」でした。
切り替えを考えるより先に、教科を1つに絞ってみてください。それで戻る子はかなり多いです。
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高学年になると、本人の意識が変わります
小6くらいになると、本人も中学を意識し始めます。「やらされている」感じが薄れて、自分でその日の分を進められるようになる子が出てきます。
うちもそうでした。4〜5年で手放さずに持ちこたえられたことが、結果的によかったと思っています。
よくある質問
Q. 途中でやめたら、今までの分が無駄になりませんか?
なりません。机に向かった時間は残ります。うちも通信教育で「勉強する時間帯」を作れたから、塾に移ったときにスムーズでした。合わなかったのは方法であって、時間ではありません。
Q. 併用してもいいですか?
できますが、両方が中途半端になりやすいです。やるなら「塾は苦手教科だけ、家は映像授業で暗記科目」のように役割を分けてください。同じ範囲を二重にやらせるのは、いちばん続きません。
Q. 本人が「どっちでもいい」と言います
その場合は、親が続けやすいほうを選んでいいと思います。送迎できるなら塾、できないなら家でできる方法。本人がこだわらないなら、生活が回るほうが正解です。
まとめ|合わないのは、失敗ではありません
- 続かないのは意志の弱さではなく、タイプと設計のずれ
- やめる前に「範囲を狭める」「15分に固定」「形式を変える」を試す
- 教材が2か月手つかずなら切り替えを考えていい
- 本人が「行きたい」と言ったら、それがいちばん強いサイン
- 塾は送迎と年額を先に計算する
通信教育が合わなかったからといって、お子さんに問題があるわけではありません。合わない方法を手放せるのは、お子さんをちゃんと見ているからこそできる判断です。
うちも2人で正解がまったく違いました。同じ家で、同じ親が育てても違うんです。だから、よそのお子さんと比べる必要はまったくありません。
お子さんに合う学び方は、必ずあります。今うまくいっていないなら、次を探せばいい。それだけのことです。
▶ あわせて読みたい:通信教育が続かない子どもの特徴と親ができる3つの工夫

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